1987年 イメージサイズ:475×673mm リトグラフ 限定枚数:30枚

曖昧なわたしの記憶によると、ここはブルックリンでもサウスブルックリンエリアでブルックリンブリッジよりも20ブロック以上も離れていた。工場がたくさんあるなかでも通常の汚さをはるかに越えて凄んでいた。道端のいたるところにはコンクリートやアスファルトのクラックから草が生えていて、普段あまり人が 歩いていないことが解る。この黒と赤い錆色をしたダイナーは、この辺で働く人々の日常をそのたたずまいに反映しているようだった。わたしはいったんダイ ナーの前を車で通過してから、2~300メートル先でUターンしてきて車から降りずにかくれるようにしてシャッターを押した。わたしはこの錆びたダイナー を見たときに、わたしの常識では食と結びつけることが出来なかったが、どうもこれは見かけにわたしが驚いているだけに過ぎなかったことにすぐ気が付いた。 この直後に、ダイナーの前の赤い車にキチンとネクタイをした白人が乗り込んだし、だいいち、まわりのビルの窓ガラスだって割られていないし、駐車中の車も キレイなやつが多いじゃないか。